オハイオ州のシンシナティ美術館でラファエロの絵をみました。
「一角獣を抱く貴婦人」です。

イタリア、ローマのボルゲーゼ美術館所蔵ですが、2016年1月までオハイオ州シンシナティの市立美術館に展示されています。

Rafaello's Lady with Unicorn
 


















1506年に描かれた神秘的な表情の女性はユニコーン(一角獣)をだいています。ユニコーンという架空の動物は何かのシンボルであったのかもしれないということです。

少し前に描かれたレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」の構図をまねたとされている絵はなるほど、背景に自然の山があって似ています。パリのルーブル美術館にあるモナリザのようにちょっと薄暗くした大きな部屋に堂々と一枚だけ飾られていました。

そのシンシナティ美術館で出会ったこの絵をみて、デザイナー由紀子は、貴婦人のつけているジュエリーがとても気になりました。

真珠養殖業を成功させた日本の御木本幸吉さんのおかげで現在世界の女性は真珠を気軽につけることができます。しかし、この貴婦人は、胸にとても大きな四角いルビーにエメラルドがちりばめられ、大粒の真珠がぶらさがったペンダントをしています。現代でもこれほど大きなルビーにはなかなかめぐり会うことがありません。

当時、真珠養殖など時代ですから、真珠取りの人がたくさんの貝をあけてたまたまみつけたのがこの大粒の真珠と思われます。ルビーもすごいですが、このジュエリーはどんなにか高価だったことでしょう。

この絵は、結婚のお祝いに贈られたものだそうです。
写真がない時代で、画家を雇って肖像画を書いてもらう時代です。絵の具もチューブに入ったものなどなく、いろいろな色の鉱物をすりつぶして油と混ぜて画家が自分で作る時代ですから、オーダーできる人もそれなりの人と察します。オーダーするのがラファエロというのが特にすごいですが…

今ではこのサイズの真珠は養殖技術が進んだおかげで高価とはいえ、普通の人が買える値段になり、私も扱えるようになりました。当時は普通の人が眺めることさえできかったのではないか思うと、時代の変遷を強く感じるひとときでした。

こんなジュエリーをいつか再現してみたいものです。

このシンシナティ市立美術館は、たくさんのすばらしいコレクションがあり、一日では全く時間が足りません。数々のヨーロッパの名画に圧倒されましたが、日本美術工芸品のコレクションもすばらしいものです。日本の陶器から影響を受けた非常に技術の高いシンシナティのロックウッドという窯のコレクション、ガラス、衣服などのコレクションもなかなかのものでまた行ってじっくりみたいと思わせてくれる美術館でした。